トラックキャンピングカーの骨組み|壁・床・天井の作り方と工法の種類
トラックの荷台にキャンピングカーを自作しようと考えた時、まず初めにキャンピングシェルの骨組みをどのように作るか決める必要があります。
主な作り方としては、「軸組工法」「ツーバイフォー工法(パネル工法)」「軸組パネル工法」の3つの種類があります。
これらの工法は建築用語になるんですが、キャンピングシェル製作を車の上に小屋を作るようなものだと考えてもらえればイメージがつきやすいと思います。
結果として僕は軸組工法で作ることにしましたが、もしまた作ることがあれば次は軸組パネル工法を採用したいなと考えています。
この記事では、3種の工法のメリット・デメリットやそれぞれの工法が持つ特徴を解説していきます。
トラックキャンピングカーの骨組み|工法の種類と選び方
キャンピングシェルはそれ自体もかなりの重量になりますし、そこに色んな物や人が乗り込むことになるので、それらを支える骨組みが大切になってきます。
しかし、この骨組みに関しても、工法の特徴によってできる事・できない事があるので、それらを理解した上で工法を選択しなければ後になって「こんなはずじゃ…」ということになってしまいます。
ということでそれぞれの工法の特徴を理解していきましょう。
軸組工法でのトラキャンシェルの作り方
軸組方法は建物に掛かる重さなど、縦方向の力を支える太い柱と、地震の横揺れや暴風など、横方向に掛かる力を支える梁(はり)や桁(けた)を使って四角形の枠を組み上げる工法でシェルを組み立てます。
軸組工法で壁・床・天井を作るメリット
- 製作途中での構想の変更などの自由が効く
- 扉や窓などの開口部を大きく取れる
- 製作後の改装などにも対応できる
これらのメリットは、主な柱や梁などを組み上げて枠として強度を持たせることで、それ以外の空間を自由に扱えるところから来ています。
また、柱や梁などに強度があるため、それなりに重量がある物でもしっかり固定したり吊り下げたりすることができます。
軸組工法で壁・床・天井を作るデメリット
- 強度を持たせるために技術や知識・工夫が必要
- 接合部など局所的に負荷がかかる為、変形の問題がある
- 柱を隠そうとすると、柱の厚さ分空間が狭くなる
まず1つ目は、枠の組み方や接合部の補強などをしっかり理解しないと耐久力のない家になってしまうからです。
例えば、2本の四角い柱をTの字に繋ぐ時、ただ釘やビスを打っただけでは、荷重がかかった時に釘が曲がったりビスが折れたりして簡単に壊れてしまいます。
なので、負荷のかかりやすい接合部には、ほぞを加工したり専用の金具で補強したりするのですが、結構専門的な領域なので、しっかり調べたり専門の人に聞いたりする必要があります。
そして2つ目のデメリットですが、それだけ補強してもやはり負荷の積み重ねで段々と変形していく可能性があることです。
なんの兆候もなくいきなり破断したり折れたりすることはないと思うので、定期的に様子を確認したり補強するなどのメンテナンスが大事だと思います。
3つ目は、柱がそれなりに太いので、外壁を取り付けて、柱を隠すように内壁も取り付けると、その柱分空間が狭くなります。
広い土地に立つ家なら気にならない点も、限られたキャンピングシェルというスペースでは少しでも広く空間をとりたいところですね。
ただ、その柱の厚さ分断熱材を詰めることで、しっかりとした断熱効果を得ることもできるので、一長一短でもあるかなと思います。
僕が軸組工法でキャンピングカーを製作した記事もあるので、よければ覗いてみてください。
ツーバイフォー工法でのトラキャンシェルの作り方
軸組工法よりも薄い木材で骨格を形成していて、その表裏をパネルなどで挟む事で面としての強度を持たせた建物にすることができます。
段ボールを想像してもらえるとわかりやすいかもしれません。
1枚の段ボールだと簡単に折り曲げることができますが、立体的な段ボール箱になると、一つの面を押しても他の面が支えるからそんなに簡単に折れたり壊れたりしないですよね。
これが面で強度を持つというイメージです。
ツーバイフォー工法で壁・床・天井を作るメリット
- 軸組工法と比べて耐震性・耐風性が高い
- 高気密・高断熱に優れていて、耐火性もある
- 作り方が比較的シンプル
1つ目について、軸組工法でも適切な補強を実施することで耐久力を上げる事ができますが、ツーバイフォー工法の建物は揺れや風などを受けた際、その負荷を面全体で分散して受けることができる為、構造自体にそういった耐久性があるという事がメリットといえます。
2つ目のメリットは、組み上げた骨格の表裏をパネルで覆い、壁と壁の隙間もほとんどなくなることで壁内部に空気の抜け道がほとんどなくなり、仮に燃焼しても一気に燃え広がらないからではないかと考えられます。
もちろん、パネルは燃焼しずらい部材を使えばさらに効果的です。
3つ目は、そもそもツーバイフォー工法は、西部開拓時代のアメリカで熟練の技をもつ職人でなくても作れるようにという事情から広まったものだそうなので、やり方さえわかれば軸組工法ほど複雑な技術がなくても作れるそうです。
ツーバイフォー工法で壁・床・天井を作るデメリット
- 開口部を大きく取れない
- 面に対する構造の変更ができない
- 局所的に負荷のかかる重量物などを取り付けるのが難しい
1つ目について、面で強度を持っているツーバイフォー工法では、その壁の骨組みが少なくなるほど、壁面積が小さくなるほど強度が落ちてしまいます。
なので、強度を維持するためにも窓や扉を大きくとることができません。
2つ目も同様の理由で、あらかじ壁のどこに開口部を開くか決めて作る工法では、壁を組み上げた後に構造を変更しようとして開口部を増やすとそれだけ面強度が落ちますし、骨組みより大きな穴を開けようとすると骨組みの縁が切れてより弱い壁になってしまいます。
大きな変更をする必要が出てくれば、製作途中でなら壁自体をバラして組み直す事で対応できるかもしれませんが、すごく大変そうですよね。
3つ目ですが、やはり骨組み1本1本の強度はそこまで高くないので、その強度を超える重量物を取り付けるのは難しいし、無理に取り付けても寿命を縮めたり、すぐ壊れたりすると思います。
基本的に床面以外の面への重量的な負荷はかけられないと考えた方がいいかもしれません。
また、パネルで覆った後に壁裏のどこに骨組みがあるか把握できるようにしておかないと、壁のどこにビスを打ったらいいかわからなくなって穴だらけになる恐れがあります。
ツーバイフォー工法では、製作前にどれだけ設計図や全体の構想、完成した時やシェルを使っている時のイメージを固められるかが重要になるように思います。
発展型−ボディバス工法
ツーバイフォー工法の発展型のような形でボディバス工法というものがあるようです。
相当の技術や道具が必要になりそうな工法ですが、多くのメリットもありそうなので紹介しておきます。
軸組パネル工法でのトラキャンシェル作り
これは軸組工法とツーバイフォー工法を組み合わせたもので、縦横の軸組に対して構造用合板を使用して建築します。
それぞれの持つ特性を併せ持つ工法のため、多くのメリットがあると同時に、それぞれのデメリットを補うことができます。
軸組工法のデメリットである「柱を隠そうとすると、柱の厚さ分空間が狭くなる」という点以外のデメリットは概ねクリアできると思います。
軽トラキャンパーサイズのキャンピングシェルでは、重量・サイズの面で難しそうですが、積載1t以上のトラックであればこの工法も選択肢に入れることができるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
キャンピングシェルの作り方にも色々な種類がありますが、それぞれの特徴を理解することで、どの作り方が自分に必要なのか、できるのかが見えてくると思います。
少しでも参考になれば嬉しいです。
どうぞ楽しいものづくりライフを♪
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