即応予備自衛官として熊本県人吉市で豪雨災害派遣任務に就いた体験談【即自第2話】
この記事では、実際に被災地でどんな活動をしてきたかをお伝えしようと思います。
まず、ぼくは災害派遣に出動するにあたって、一つ気がかりなことがありました。
後でわかることなので正直に言いますが、派遣当時のぼくは現役の時と比べるとガタガタに筋力が落ちていたんです。
(被災地で活動が始まれば弱音を吐くわけにはいかないし、足手まといには絶対になりたくない!)
そんな心配をしながら、でも絶対に悔いだけは残さないように全力でやろうと決めていました。
そして、いよいよ派遣活動の始まりです。
災害派遣活動|人吉市の避難所でダンボールベッド等の設営
はじめに僕たちの部隊が実施したのが、避難所の居住スペース設営です。
体育館に敷かれていた畳を片付けて掃除し、災害用のダンボールベッドを組み立てました。
被災された方がすぐそばで見ている中での作業はとても気を遣いましたし、落ち込んで頭を抱えている方を見たときはやるせない気持ちになったのを覚えています。
また当初の不安が的中し、室外機搬入の際、重い荷を担いでの階段往復で案の定腰を痛めてしまい、派遣期間中は終始腰を庇いながらの活動になってしまいました。
結果的には自分のできることを見極め、時には人に頼って、どうにか人的損耗にならずに任務を遂行でき、
個ではなく部隊として補い合って任務を完遂していけることが自衛隊の強みだと改めて実感しました。
https://twitter.com/i/status/1283223384487153664
災害派遣活動|人吉市内にある災害廃棄物の撤去
災害廃棄物の撤去では、民間の大型重機などが中に入って作業するために、山積みになっている災害廃棄物を人力でトラックに積み込んで道路を開放する活動です。
氾濫した河川の水に流された大小様々なものが汚水にまみれて混在しています。
これを木材・畳・可燃・不燃などに分けて積み込むのですが、とにかく量が多い。
さらに、防水・感染予防などの目的でしているマスクや装具が体力を奪っていきます。
この日は特に日が照っていて、トラックの荷台で作業をしていると、背中が急にゾワゾワっと泡立ち始め、
(これはヤバイ)
と感じて、トラックに積み終えた後に一旦休ませてもらおうと日陰に移動。
そこでは死屍累々と言いますか、気づけば何人も暑さでやられて休んでいました。
(おそらく1度の熱中症になっていたと思う)
塩分タブレットや梅干しをもらいながら体力を回復させていると、作業と休憩のローテーションが増えることになったみたいです。
(まだやれる!)
とその時は思っていましたが、自分の限界を超えるまで無理をしたり、気づかないうちに判断力が低下していた可能性もあり、部隊単位で考えても適切な判断だったなと今では思います。
なにより、活動するのは自分だけじゃないですからね。
そんなこんなで、着々と路上の災害廃棄物を撤去していったのでした。
【守りたい人がおるったい‼️ 】
【復旧作業】
被害が大きい熊本県人吉市青井地区。
今日も朝から雨ですが、みんなと早く笑いあえる日がくるように、私たちは『前向き』に頑張ります。#人吉市#豪雨#自衛隊#第19普通科連隊#即応予備自衛官#災害派遣pic.twitter.com/fOnpdHkB0I— 陸上自衛隊第19普通科連隊 (@jgsdf_19ir_pr) July 11, 2020
【守りたい人がおるったい‼️ 】
【人吉市】
今日活動していて思った事は、環境の復旧もそうですが、心のケアが一番大事だと感じました。
時間はかかるかもしれませんが、その時間が少しでも短くするのが、私たちの仕事なんです。#人吉市#元気#自衛隊#災害派遣#第19普通科連隊#即応予備自衛官pic.twitter.com/Uex8TU1Eo2— 陸上自衛隊第19普通科連隊 (@jgsdf_19ir_pr) July 12, 2020
災害派遣活動|人吉市内の駐車場に災害廃棄物を集積
ここでは、道路上で撤去した災害廃棄物を指定の駐車場に集積する作業を行います。
いくら降ろしても後から後からやってくるトラック。
何もなかった駐車場があっという間に木や鉄、家財や電化製品で溢れていき、被害の大きさを思い知らされました。
降ろしている荷物からは色んなことが伝わってきて、
(これには誰のどんな思い出があったんだろう)
と考えずにはいられません。
日が照れば暑さと粉塵にやられ、雨が降れば汚泥にまみれながらの作業でしたが、避難所や街で片付けをされている方々の辛さを思えば苦ではありませんでした。
こうした活動を戦力回復の日も含めて約1週間、部隊単位のローテーションで回していました。
次回、災害派遣活動からの帰隊と即応予備自衛官の任期満了退職
これが2020年7月熊本豪雨災害に派遣された際の、僕が所属していた部隊での活動内容です。
11月現在も現地では復興に向けて取り組んでいると聞き頭の下がる思いです。
寒くなってきましたので、お身体に気をつけてお過ごしください。
派遣期間を通して、助言をくれた同期や色々とお世話になった天幕の先輩方には感謝しかありません。
ありがとうございました。
また、所属していた部隊の常備・即自の皆さんと一緒に活動できたことは僕の誇りです。
この災害派遣を経て、この部隊の人たちが仲間で本当によかったと心から思いました。
仲間や部隊がいたからこそ悔いなく全力で活動することができたのだと実感しています。
次回は派遣終了後と即応予備自衛官退職のことについて話そうと思います。
それでは!
この度の災害で亡くられた方々の御冥福、被災地の方々のご健康と1日も早い復興をお祈り致します。
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