竹田市と水|江戸時代から300年、白水の滝から流れる水道の歴史

2022年3月3日大分県,竹田市

竹田の円形分水

”水と在る町”

今回ぼくが竹田を見てまわって思い浮かんだ言葉です。

川が枯れることがないように、この湧き水も枯れるいこともないのだろうと思えるくらい水資源に恵まれている町だと感じたのですが、

土地だけでなく、江戸時代から続く水田・水路整備など、人の暮らしと水の関係についても深い繋がりがあると思いました。

そこでここでは、竹田と水の関係について感じたことを記していこうと思います。

はじめに書くのは、土地と水との関係についてです。

竹田市と白水の滝の関係

白水の滝

竹田の町の居酒屋にお邪魔した時、地元のおじさんに教えてもらったのがこの滝でした。

この滝は、大昔に幾度もあった阿蘇山噴火の堆積物によって誕生した名滝で、

滝つぼがダムのようになっていますが、明治期に治水整備がされるまでは岸壁一面にしぶきが飛び散り、それは見事な光景だったようで、

”水の白きこと雲にもまさり、たとへんものなし”

と感嘆されていたようです。

白水の滝の歴史と逸話

白水の滝の滝つぼダム

白水の滝からの流れや山、地層から湧き出た水を追って下山していると、いくつもの水流を見ることができます。

至る所で大地から水が湧き出ているのを見ていると、自然の息吹を全身で感じているような気持ちになりました。

白水の滝の湧き水

白水の滝の山道

白水の滝からの落水

白水の滝の山道の滝

そしてこの白水の滝は、自然を感じさせてくれるだけでなく、この地域に住む人々の暮らしにも深く結びついていました。

ではいったい、竹田の人々の生活にどのように関係していたのでしょうか。

白水の滝の歴史

江戸時代から300年続いた水道治水と円形分水の歴史

竹田の枯れることのない水資源は、大昔からこの土地の生き物を潤してきました。

中でも、特に恩恵を受けていたのが田畑と生きる農家の人々です。

雨・水がなくては彼らは作物を育てることができず、それはそのまま死を意味していました。

だからこそ治水工事をして、その豊かな水を有効に活用しようとしたのです。

しかし、当時の道具や技術では限界があり、近隣の田畑や村との間で水問題が勃発してしまいます。

江戸時代から始まった開田・治水の取り組みはおよそ300年もの間トライ&エラーを繰り返しており、その間に幾度も地域での水をめぐる外部紛争・内部紛争があったようです。

その問題を解決しようと多くの人たちが立ち上がりましたが、ある人は完成間近で災害に見舞われて腹を切り、ある人は工事途中で資金が尽き破産し、ある人は志半ばで寿命を迎えており、先人の血と汗と涙の滲む苦難の300年とも言えるでしょう。

円形分水と竹田の歴史

こうした筆舌に尽くしがたい歴史に想いを馳せると、竹田と水との間には、ただ美味しい水が豊富というだけじゃない絆のような”確かな繋がり”を感じずにいられません。

ここに記されている歴史を、ただ過ぎ去った過去として捉えるには、文章から滲み出る想いが強すぎて、

ここにあるのは、確かに積み上げられてきた”生きた証”なのだとはっきりと感じさせられました。

竹田の円形分水

円形分水の歴史

水は農家の魂なり

白水ダムから竹田農地への水道

竹田にある水の名所のひとつとして外せないのが白水ダムです。

この白水ダムも居酒屋で地元のおじさんに教えてもらった場所で、「すごく美しいダムで見たら感動するから」と強くお勧めされました。

白水ダムの道案内

現地に行く途中の看板にも、”日本一美しい白水ダム”の文字があり、

「ダムが美しいってどういうことだろう」

と考えながらダムに到着すると、

なんと…!

白水ダムの土砂掘削工事

まさかまさかの工事中でした〜。笑

これも巡り合わせかと思いながらも、近くの説明を読んでみると、ここにも先人の想いが綴られていました。

白水ダムの歴史

確かに、ダムの傾斜をよく見てみると、左右に美しい石造りの細工が見てとれます。

両端まで溢れる水量が流れ出る際に、両端の水流が石細工に沿って正面の落水にぶつかることで本流の勢いを抑える働きをするみたいですね。

見た目だけでなく、機能性も発揮する設計はまさに芸術と呼べます。

水がない分、構造がしっかり見えるので、これはこれで運がよかったです。

白水ダムの石造り

白水ダムの工事

せっかくなので、綺麗な写真も一緒にどうぞ♪

竹田市白水ダムと水道
写真引用元:たけ旅
竹田市の白水ダム
写真引用元:たけ旅
日本一美しい白水ダム
写真引用元:たけ旅

この白水ダム、美しさに気を取られてしまいますが、このダムと地域がどのように結びついているのかも、流れに沿って下っていく中で見えてきました。

ここから流れ出る水は、川沿いの田を潤しながら竹田の城下町やその先まで流れています。

自然環境に対して、ダムというものがどんな影響を与えているのか、ぼくはわかりません。ただ、先人が必死に造り上げたものが、この土地の人々の生活を支えて、助けになってきたのは疑いようのない事実なのだと思いました。

白水ダムの流れ

白水ダムから城下町へ

竹田市白水ダムと川床

白水ダムと田園

白水ダムの下流

”水と在る町”人と水の歴史が流れる竹田

今回ぼくが水を巡ることになったのは偶然で、竹田のイメージも美味しい湧き水のでる水が豊富な町というくらいのものでした。

それがあれよあれよと水にまつわる所を転々とすることになり、そしてその先々で先人たちの想いが感じられて、気づけば積み重ねられた歴史に胸を打たれていました。

”水は農家の魂なり”

そこに残された結晶と、彼らが生きた証から学べることが沢山あると思いました。

読んでくれてありがとうございました!

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