大分県竹田市の名水竹田湧水群を巡った話|湧き水のある土地について
出発当日、まずは旅暮らしで使う生活用水を補給するために大分県竹田市に向かいました。
キャンピングカーは外部から水を確保する必要があるので、それを湧き水で賄おうと考えたからです。
竹田を選んだ理由は、この土地の湧き水がとても美味しくて、自分の身体によく馴染むというのもあります。
至る所から水が湧き出している竹田の町、せっかくなので色んな湧き水を探索してみることにしました。
ということで、ここでは知る人ぞ知る名水”竹田湧水群”を巡った話をしていこうと思います。
大分県竹田市の竹田湧水群
竹田湧水群は阿蘇山系からの伏流水を水源としていて、日本の名水百選に選定されています。
竹田市自体も水の郷百選にも選ばれている水の町です。
それでは、湧き水巡りの旅に出発しましょう♪
河宇田湧水−車乗り入れできる便利な湧水地
竹田湧水群の中でもこの河宇田湧水という場所は給水場所に車を横付けできるので、重い水を持って山道を歩かずに済むので助かります。
道路に面しているので迷うこともありません。
利便性としても立地的にも人気な湧き水のようで、僕が補給している間だけで何台も車が入れ替わっていました。
補給パイプが何本もあるので、順番待ちすることがないのも嬉しいですね。
中には、何十本もの2Lペットボトルにありったけ詰め込んでいく人もいて、この湧き水の有用性や、いかに人々の暮らしに根付いているのかを感じることができました。
泉水湧水−庭園のような美しい湧水池
泉水湧水は、美しい景観の広がる素敵な湧水です。
澄んだ湧き水がそこにあるだけで、池に咲く草花の美しさが際立ち、取水地全体がとても生き生きしているように感じました。
また、水車や庭石などがあるおかげで、水路というよりは日本庭園を思わせるような造りになっていて、水だけでなく目でも耳でも楽しむことができます。
すぐ隣に駐車場もあるので、利便性も申し分ありません。
長小野湧水(鳴瀧)−森林浴が気持ちいい、あるがままの山湧水
次に向かった長小野湧水(鳴瀧)は道から少し外れた山の中にある湧き水です。
道中に川があったのですが、溶岩が固まったような岩肌をした特徴的な川でした。
先にも書いたとおり、竹田湧水群は阿蘇山系の伏流水を水源としているため、この河質も阿蘇山が大昔に噴火した時のことに関係があるのかもしれませんね。
現地に到着して山に入ると、歩きづらくはない、でも”人が整備しました感のない”とてもぼく好みの山道が迎えてくれました。
道の脇には、湧き水から流れてきているであろう小川があり、木の隙間からの木もれ日や鳥の鳴き声を楽しみながらの森林浴はとても気持ちが良かったです!
そんなに長くない距離を歩いていると、目的地が見えてきました。
神秘的な岩肌と紫翠の中にしとしとと在る湧き水、これが長小野湧水”鳴瀧(なるたき)”です。
今回巡った竹田湧水群の中で、雰囲気で言えばこの鳴瀧が一番好きでした。
山の水場特有のシンとした冷たい空気、湧き水の落ちる音や飛沫に心が洗われるような気持ちになりとても癒されました。
奥に梯子があったので何があるのだろうと登ってみると、洞の中に祠?のようなものが置かれてありました。
こんな場所なら祀られていても不思議じゃないなと思いつつ、この場に感謝して鳴瀧を後にしました。
長小野 塩井湧水−石橋水路と苔生す水坂のある地割れ河
塩井湧水は川沿の山にある湧き水で、池のような水路には魚が泳いでいます。
隣に流れる川は、これまた独特な河質で、海のリーフのように岩が切れて突然深くなっています。
また、川の向こうに架かっている六連アーチの石橋は『明正井路第一拱石橋』という、農業用の水を渡すための水路橋です。
大正時代にできた日本一の石橋水路橋は現在も田畑のために水を流し続けています。
塩井湧水の取水場もなかなか面白い形をしていました。
今回水巡りをして思ったのですが、竹田にある水関係の人工物って丸とか曲線が多いような気がします。
機能性などを突き詰めていったら最終的に丸になるのか、どうなのか。
一つの要因に”和”を意識しているのではないかなとぼくは思ったりしました。
人と人が手を取り合って生きていくようにという願いのような。
自然という視点からも、誰にでも分け隔てないところが丸のイメージに合っている気がします。
取水場を過ぎて少し歩くと、さりげなく山からパイプが突き出していました。
ここが水源のようです。
取水場の近くに河原に下りられる坂があるのですが、山からの湧き水が常に流れ出ているので、坂一面に水苔が生えていました。
水は言わずもがなですが、周辺環境にも汚れがないため苔がみずみずしく光り、湧き水の透明感も相まってとても綺麗です。
河原に下りてからは、写真を撮ったり、石で水切りしたりして遊んでました。笑
一通り楽しんだら満足したので、塩井湧水を後にします。
塩井湧水の帰り際に川模様が気になったので写真に撮りました。
まるで地割れしたかのような岩が何筋も川の流れをつくっています。
矢原湧水−趣のある湧き水のほとりでゆったりと
最後に向かったのは、民家の裏にさりげなく湧き出している矢原湧水です。
民家の裏手に「えっ?」と思うくらい普通に湧き水が湧いていて少し面食らいました。
でも見れば見るほどそこはかとなく侘び寂びを感じる気がします。
川と民家と橋の間にふっと湧いた水を見ていると、ふと考えてしまいました。
(自分の知っている水と全然違うなぁ…)と
水ってなんだ?
雨・川・海
水道水・ボトルウォーター?
日本で暮らしていると当たり前に存在してるけど、海外に目を向けてみるとやっぱり恵まれてるな。
日本人の精神性とか文化の発展もこの山河あってこそって気もするし。
でも同時に、地震や水害みたいな自然災害もあれば、安心安全を謳った薬品に健康を侵されるみたいに発展途上の科学や経済の猛威にさらされることもあって、自然や文明に牙剥かれるし。
自然・暮らし・文明か。
自然がないと心病むしな〜
文明なくても生きられるけど、ないと不便だよなぁ
でも、フィジーの村の人たちは幸せそうだったのに、都市部に行くと楽しそうな人だけじゃなくて辛そうな顔した人もいたんだよな。
あれは文明が貧困と格差を植え付けてるよな。いや、というより欲で飢えた人か。
あー、やっぱこの湧き水みたいに真ん中だな。
調和を目指して生きたいもんだー。
川と民家と橋がそのまま「自然・暮らし・文明」の縮図になっているような気がして、そんなものたちの真ん中に湧いた湧き水を見ながらそんなことをぽつぽつ考えていました。
ふいに気持ちのいい風を感じて、今はのどかな河辺にいるんだったと思い出し、ゆっくりやっていけばいいさと気持ちを入れ替えました。
その後は、湧き水のほとりで思う存分日向ぼっこして帰りました。
竹田湧水群|湧き水のある土地について
口に入るほぼ全ての水分に人の手が介入している現代だからこそ、湧き水に触れて気づくこともあるように思います。
ぼくがこの湧き水巡りを経て特に感じたことが”自然は誰にでも平等だ”ということです。
自然の前には人に上下なく、善悪もない。
ただ自然の摂理に基づいて等しく与えて、等しく奪い、人の行いに対してその通りの結果を還してくるものだと、そんな風に思いました。
あなたも、竹田市に来た際にはぜひ湧き水巡りをしてみてください。
それぞれの場所も車でそんなに離れていないので、動きやすいと思います。
贅沢な時間が過ごせますよ♪
そんなこんなで、以上、旅の初日でした。
読んでくれてありがとうございました!
竹田の水についての記事はこちら
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