黄牛の滝|龍伝説の渓谷で自然の迫力に魅せられる。進む程深まる秘境
旅のはじめに向かったのは大分県竹田市にある”黄牛の滝”
竹田に向かう度に看板を見かけていたので気になっていたものの、一度も行ったことはありませんでした。
それが今日、ふとしたきっかけで訪れることを決めることになり、行ってみたら予想もしていなかった”龍の領域”に魅せられてしまったのです。
…
黄牛の滝|大分県竹田市の穴場スポット
旅に出発した次の日、貯水タンクに水を溜められずにいた僕はシャワーを浴びることができないので近くに温泉がないか探していました。
そこで見つけたのが”宮城温泉 出会いの湯”
「なんて好奇心のくすぐられる名前なんだ!」
旅と出会いは抜群の相性なので、名前を見た瞬間即この温泉に決定しました。
温泉のすぐ近くに黄牛の滝が
早速周辺の地図情報を調べてみると、温泉のすぐ近くに黄牛の滝もあることがわかりそちらも調べてみることに、すると…
ずっと’こうぎゅう’の滝って読んでたけど、’あめうし’の滝って読むんだ!
今まで間違っていたことに初めて気がつきました。笑
この日は前日からずっと雨が降っていたため、’あめ’繋がりでなんだか縁を感じたのもあって黄牛の滝に行ってみることにしました。
なんともヘンテコなきっかけですが、出発したはいいけど行先が決まらずどうしようかと考えがまとまらなかった僕にはこれだけ揃えば十分だったのです♪
ドライブやツーリングに◯、駐車場・トイレ・温泉のある秘境
滝壺まで10分ほどの丁度良い距離の場所にトイレ付きの駐車場(10台分位?)があるので、黄牛の滝は気軽にアクセスできる穴場スポットですね。
ちなみに冬の一定の期間は凍結などの理由でトイレは使えないようで、鍵が閉まっていました。
こういう時にポータブルトイレは便利なので、キャンパー暮らしには重宝します。
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昔話に出てきそうな黄牛の滝小屋
駐車場の向かいには、なんとも味のあるいい小屋が建っています♪
滝を訪れた人のために杖などを貸し出してくれているようで、竹杖の上にはこれまた風情のある文字でこう書かれています。
私の竹名は互桟(ごさん)竹と言います。
粘りの強さを買われて杖(昔は傘の持ち手、魚釣竿として)重宝されました。
本日は滝見物へようこそ?御越し下さいました。
階段等も有ります。
足腰に自信の無い御方、私に御供させて下さい。上坂田の互桟竹
この記事を書いている今、
(なんだか宮沢賢治の注文の多い料理店を思い出すなぁ)
と考えながら書いています。(伝わる?)
こういう風に、人の手が加わってなお趣を深めてくれる物や場所、人の想いに触れると、ちょっと嬉しくなってきます。
黄牛の滝の伝説|龍の住んでいた滝
そこからすぐの所に滝への入口と、黄牛の滝について書かれた立て札がありました。(待ってました!)
こういった自然の名所と呼ばれるような所では、昔から伝えられてきた逸話が紹介されていることがよくあります。
僕はそういった物語を読むのも好きなので、旅の中で収集していきたいなと思っています。
立て札に書かれている内容は主に2つ、黄牛の滝の伝説と名所として整備されるまでの活動について
ここでは伝説について書き起こしてみます。
言い伝えによると、「この滝には昔、龍が住んでいて村人や家畜に危害を加えていたと言います。ある夜、一人の僧侶がこの滝を訪れ、子牛の頭を滝つぼに投げ込み、これを犠牲(いけにえ)として龍の禍を鎮めた」といわれます。今では、滝のすぐ上の田園のふちに、古い石塔が祀(まつ)られていて、この石塔には「長享三年巳酉八月二十四日、向上庵文芳芸公」と刻まれています。(長享三年は一四八九年で室町時代)おそらく伝説の人物と思われています。
考察しがいのある面白い伝説ですね。
このように、ずいぶん昔にあったことや伝説と呼ばれているものは物語の全体がざっくり伝わっていっているのかもしれません。
それではいざ、龍の居跡へと向かいます。
道中は舗装されていて歩きやすいです。
道の脇に流れている水路が、水量が多い割にとても静かだったのが印象的でした。
川辺まで降りる階段がありますが、結構傾斜が急なので気をつけて降りて下さいね。
雨の渓谷に満ちている自然の存在感はまるで…
川辺に降りて感じたのは、雨の日のシンとした空気、それとは対照的にまだ見ぬ滝から響いてくる轟々とした音、そしてザァーッとそこに満ちている自然の存在感でした。
どれだけ人の時代が流れても、世の中が変わったとしても、自然はそのすべてを経てなおそこに在り続けるんだと無言で語りかけてきているように感じました。
「どんなに変わってもそこに在り続ける」
それが自然というものなのかもしれないなと思ったのです。
天然の岩屋根
そんなことを感じながら、進んでいくと雨の日にはぴったりの雨宿りスポットを発見!
頭上の岩が迫り出しているおかげで、その下の部分だけ雨がかかっていません。
傘をさして来たものの、乾いた地面があるだけでも腰を下ろしたりできるので助かります♪
進むほどに増す渓谷の存在感と轟々とした滝の音
それから滝の音のする方へどんどん進んでいくのですが、進めば進むほど空気というか、空間が変わっていくのがわかるんです。
雨か晴れかで変わり方もまた違うのでしょうが、この日は奥に行く程かたくなるというか、密度が増すというか…そんな感じがしました。(語彙力がほしい泣)
ただ、全然嫌な気持ちはしなくて、どちらかといえばどきどき、わくわくと期待が高まる気持ちでしたね。
最初にいくときはぜひ道中も満喫しながらゆっくりと進むと最高かもしれません♪
巨大な龍の通り道かのような岩壁に挟まれた渓谷を進んでいくと、ついにその滝の姿を目にすることができました。
龍の住んでいた滝|大自然の迫力を前にはただ…
「…っは……すげぇ…」
思わず口に出ていた素直な感想です。
滅多にない息を呑む体験でした。
音、風、空気、滝の圧倒的な存在感に、全身で感じる空間の凄み。
そして近づいていくにつれて
増していく全ての迫力を
目の前にした時
口をついて出た言葉が
「…っべ…半端ねぇ…」
ごいりょくぅううううううう!!!!!!
いやでもそんなもんですから
いざ眼の当たりにして咄嗟に出てくる本音なんてそんなもんですから!
はい、少し取り乱してしまいましたが、それだけこの場に当てられたということでした。
こればかりはどんなに文字や映像を尽くしても100分の1も伝えることも、感じてもらうこともできない気がします。
その代わりに、僕がどれだけ感動したのかということだけでも伝えられたらと思います。
そうして記憶してもらうことが、いつかあなたが何かの縁でここに来るきっかけになるかもしれませんからね。
黄牛の滝壺|瀑布轟く龍伝説の秘境ではしゃぐ
そんなこんなでひとしきり感動して浸った後は、この空間を存分に満喫するべく、色んな写真を撮ったり、岩を飛び移ったりして遊んでいました。
「え?29歳ですが何か?」
こちとらもう高揚感MAXでウキウキなんですよ!笑
水着持ってたら滝行やら寒中水泳やらやってみたかったです!
そういえば、滝の飛沫がかかるかどうかの岩壁に、伝説にあった子牛(黄牛とのこと※未確認)のような色をした液体のようなものが岩の裂け目から滴り落ちているのが興味深かったですね♪
十分満喫したところで、別の来訪者の人たちが来ていたので僕は我が家に帰ることにしました。
冬の雨の日にここを訪れる人が他にもいることに少し驚きましたが、
(でも確かに、知ってたら来たくもなるよなぁ)
と思いそれも妙に納得しました。
雨の日の雰囲気や迫力も良いものでしたが、道中の雨の注意書きもあったので、十分注意して下さい。
少しでも(ヤバい…かもしれない?)と違和感を感じたら危険からは遠ざかりましょう。
生き残るための基本です。
そんなこんなでその日は我が家に戻りました。
晴れた日の黄牛の滝
そして翌日、記事を書くために現地の空気と感動を思い出そうと、もう一度黄牛の滝を訪れました。
昨日と違って晴れていた為か、川辺に降りたところから感じる印象が変わっていました。
自然の存在感はもちろんありますが圧迫感が和らいで少し軽くなったような清々しさを感じる空気です。
渓流の流れも太陽に反射されて鱗のようにキラキラ光っていて綺麗でした。
黄牛の滝の渓谷は岩が点在していたり複雑な流れをしているので、いろんな形の水流を楽しむことができますよ♪
夏の避暑地にも
滝への道すがら
(夏の暑い盛りにここら辺で水遊びとかしたら最高に気持ちよさそうだな)
とか考えながらウキウキ歩いていました。(昨日と違うなぁ…)
そして滝壺の場所まで辿り着くと
これまた滝壺のすぐ近くまで石を渡ったり、写真や映像などをパシャパシャ収めたり、
岩に座って龍笛を吹いたりなんかして、晴れの日の空間を満喫しました。
これで続きが書けるかなと思ったのでのんびり帰路へ。
渓谷で日向ぼっこしていると
昨日見つけた岩屋根の雨宿りで日向ぼっこしながらそこでも龍笛をひと吹き。
そこに、後から来ていた年配のご夫婦かな?の気配に気づかず、不意の足音にドッキリあたふた。
人に聴かせるつもりじゃなかったので少し恥ずかしくなって、挨拶も早々にその場を後にしました。汗
雨の日と晴れの日で変わった黄牛の滝の印象
そんなこんなの再訪を終え、こうして2度の訪問を比べてみた時、同じ場所で感じた印象の違いがなんなのかを考えてみました。
・環境の違いとしては、雨か晴れかというところがはっきりしていますね。
・主観的な違いであげるなら、訪れるのが初めてか否か。
こういった条件的な違いがあって、じゃあそれによって感じたことは何かというと、
”迫力の質”に差があったことです。
雨の日に感じたものを言葉にするなら、
”凄みや畏れ”
晴れの日は、
”豊かさ”
同じ場所から発生している迫力でも、それに与えられる印象がこの2度でこのように変わりました。
当然と思われる人もいるかもしれませんが、僕はとても面白いと感じます。
この違いがどこからくるのか考え始めると、動物的な本能や、体温や肉体的な変化、空間が変質したのかどうかなど、キリがなくなるのでここではやりませんが、
同じ物事でもちょっと条件が変わるだけで感じ方が変わるのだと意識していれば、どんなことでも色々な楽しみ方ができる気がしました♪
気合いが入って長くなってしまいましたが、本旅の記念すべき1記事目を最後まで読んでいただきありがとうございました!
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