つぼ焼き芋の作り方|壺の使い方と甘くてトロトロになる焼き方とは
つぼ焼き芋はどうして甘くてトロトロに焼き上げることができるのでしょうか。
市販のつぼ焼き器で焼けばなんでも美味しくなるのかというと、そうでもありません。
ここでは、つぼ焼きの効果を解説しながら、美味しいつぼ焼き芋を焼くための焼き方とポイントを紹介していきます。
絶品焼き芋の作り方をマスターして、美味しいつぼ焼き芋を食べましょう♪
つぼ焼き芋の作り方−壺の役割
つぼ焼き芋を作るためには焼くための”つぼ”がなくては始まりません。
なので、まずはその”つぼ”の役割を理解してつぼ選びの参考にしましょう。
つぼ焼き器の使い方
次の写真を見てください。
このつぼ焼き器を構造として説明すると次のようになります。
- 空気穴のある下層に炭火などの熱源を置く。
- 火力に合わせて中層〜上層にサツマイモを吊るす。
- 内部温度を保つために蓋をする。
つぼ焼き器だけでも色々と種類がありますが、使い方としては大体このような感じです。
つぼ焼き器の仕組み−木炭と遠赤外線
そして、つぼ焼き芋の最大の特徴&利点としてあげられるのが遠赤外線です。
遠赤外線をひと言でいうと「水や食品などに浸透しやすい”電磁波”」で、電子レンジのように物質を振動させて摩擦熱を起こします。
この遠赤外線は炭火や、加熱された”壺(陶器)”からも多く発生するので、均一に熱を芋の中に浸透させることができます。
これが甘くてトロトロの焼き芋に焼き上げるつぼ焼きの仕組みです。
さつまいもの糖化温度と時間
サツマイモは生で食べてもある程度甘いですが、焼き芋にするとそれの比じゃないほど甘くてトロトロになりますよね。
それは、加熱する工程でサツマイモの”デンプン”が柔らかくなり(糊化)、「アミラーゼ」という酵素によって「オリゴ糖」や「麦芽糖」という甘い物質に分解されるからです。
これを”糖化”と言います。
この糖化は「芋に含まれている”水分”」と「アミラーゼが活動できる”温度”」をキープしなければ進みません。
そして、つぼ焼きでは遠赤外線を利用することで、全体を均一にじっくりと加熱することが可能なので、まんべんなく甘くてトロトロした焼き芋に焼き上げることができます。
石焼きとつぼ焼きの違い
石焼き芋との違いを考えると、つぼ焼き芋は遠赤外線を最大限有効利用して芋を糖化させている点だと思います。
- 遠赤発生率の高い木炭や壺(陶器)を使用。(石焼きはガス式・電気式が主流(石によっては遠赤を出すものもある))
- 1度の焼き上げに2〜3時間かける。(石焼きは約45〜1時間)
- 芋の縦置きによる内部での蒸気の対流。
ただ、こうしてみるとつぼ焼きのやり方が適しているだけで、工夫すれば石焼きでも甘くてトロトロの焼き芋を焼けるかもしれませんね♪
やり方が見つかれば、一機で一度にたくさん焼ける石焼き芋は効率が良さそうです。
とはいえ、つぼ焼きにはつぼ焼きの魅力がたくさんあるので、どれを選ぶのもつまるところ好みですね。笑
つぼ焼き芋の焼き方
さて、それではいよいよつぼ焼き芋の焼き方を紹介していきます。
工程自体はシンプルで、芋が用意できたら炭火を入れて、芋を吊るして、時間になったらひっくり返すだけです。笑
でもこれ、シンプルだけど奥が深くて難しいんですよねぇ。
何度焦がしたことか…泣
とはいえ、最近は焦がさないための工夫も編み出したので、そこらへんも含めて紹介していきます!
それではいってみましょう♪
焼き方1.さつまいもを洗う
「そんなこと言われなくても!」
って思うかもしれませんが、つぼに炭火を入れてから芋を洗ってたんじゃ時間がもったいないんです。
というのも、炭で温めたつぼに洗ったばかりの濡れた芋を入れたんじゃ、せっかく上げた内部の温度が下がってしまいます。
なので、火を起こす前に芋洗いを済ませて、つぼが温まった時には乾いてる芋を入れられるようにしておきましょう。
焼き方2.木炭に火を入れて壺を予熱する
次は木炭の火起こしと壺の予熱です。
七輪など耐火性の高い材質のものには直接炭を入れてバーナーで火付けをしてもいいと思います。
壺のタイプによっては直接中で火入れをすると割れてしまうものがあるので、その場合は外で炭を焼いて、全体がしっかりと焼けて白くなってきたら壺の中に入れて蓋をします。
温度はつぼのサイズによって変わるのでなんとも言えませんが、芋を吊るす位置の壁が”熱くて一瞬しか触れないくらいの温度”になるまで予熱します。
あとは焼いてみながら自分で感覚をつかんでいきましょう。
焼き方3.一定時間で定期的にひっくり返す
火力ミスやひっくり返すのを忘れてしまって焦がしたり、低音で水分を飛ばして固くなってしまうと、それ以上糖化できず味や食感が損なわれてしまうので気をつけましょう。
焦げを予防する工夫として、芋の下側1/3をアルミホイルで包むことで炭火の直炎から芋を守ることができます。
全部アルミホイルで包んでしまうと、皮が柔くなり皮内の水蒸気に負けて裂けてしまったり、水分の逃げ道がなくなって焼き上がりがびちゃびちゃになってしまいます。(それが好みならそれでOK!)
ホイルなしでのひっくり返し頻度目安:15〜20分に一回
ホイルありでのひっくり返し頻度目安:20〜30分に一回
※芋の蒸気や釣り金で火傷するので、軍手を2枚重ねくらいして芋をひっくり返してください。(まじでメチャクチャ熱いです!)
焼き方4.壺内の火力・温度を保つ
この火力調整・維持が一番重要で難しいところですね。
糖化が進む温度が65〜75℃なので、さつまいもをこの温度に加熱し続けられるように内部温度を維持しなくてはいけません。
ぼくのつぼ焼き器のサイズでは、芋位置の内部温度を100〜120℃に維持するのがベストな火加減でした。
炭を入れる量やタイミングによって温度が上がりすぎたり下がりすぎたりするので、その辺りの調整具合をつかむのが美味しいつぼ焼き芋を作るコツと言えます。
空気穴が塞がらないようにこまめに穴を通しましょう。
底の炭が全体的に白い灰に覆われてくるのを炭追加の目安にするといいかもしれません。
焼き方5.芋を引き上げる
適温でひっくり返し続けていれば、芋のサイズによりけりですが概ね2時間くらいで中がトロトロのつぼ焼き芋に焼きあがります。
見分け方としては、芋を押してみて中にホクっとした芯もないくらいぐにゃぐにゃに柔ければOKです♪
ここまでで既に甘くてトロトロのつぼ焼き芋になっていますが、ここからさらにもう一段階上の激甘ねっとり焼き芋にしたい場合は、次の工程に進んでくださいい。
焼き方6.つぼの上で最強の焼き芋に熟成させる
これが最後です。
「焼き方5.」で引き上げた焼き芋を入れた鍋などをつぼの上に置き、その中で同じように定期的にひっくり返しながら水分を飛ばしながら糖化を進めていきます。
ぐにゃぐにゃしていた焼き芋の水分が徐々に抜けていき、グニグニとした感触になり、一部芋蜜がアメ化してきます。
そこまでなったら完成です。
やることはシンプルですが、このひと手間を加えるか否かで味わいがまた全然変わってきます!
甘くてトロトロのつぼ焼きいもに不可欠なさつまいも選び
最後の要素として、これだけは外すことができません。
焼き方を工夫しても、自分好みの焼き芋に適したさつまいもでなければ満足のいくものは作れないからです。
品種はもちろんですが、『作り方=土』で芋は変わります。
ぼくも何種類も違うさつまいもを焼いて、同じ品種でも違う生産者さんのお芋を焼いてみて実感しました。
そしてたどり着いたのは、やっぱり焼き芋の師匠が使っていた農家さんのお芋でした。
このさつまいもだから自分は自信をもって人に提供できる、満足できる焼き芋が焼けると思いました。
紹介して頂いた師匠と作って頂いている農家さんには本当に感謝しています。
あなたにも素敵なさつまいもとの出会いがありますように。
ぜひ最高のつぼ焼き芋を目指してみてください♪
つぼ焼き芋の作り方−まとめ
つぼ焼き芋の作り方はいかがだったでしょうか。
少しでも参考になれたならと思います。
つぼ焼き芋の魅力を知る仲間が増えることは嬉しいですからね♪
旅先での焼き芋行商で出会える日を楽しみにしています。
それではまた!
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